映画学メモ
日本ではまだイマイチ馴染みの薄い「映画学」なるものを、イギリスの大学から実際の映画学の授業に沿うかたちで紹介していきたいと思います。まー気楽にいきましょう。
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映画はどこから来たんだろーか その弐
というわけで、前回のつづきです。

前回は、史上初の映像メディアとして19世紀末のフランスに映画が誕生したこと、それと、その誕生当時の映画は当時の人々にとって、今の時代には想像もつかないような、圧倒的な現実感を持っていた、ということを書きました。映画を生み出した19世紀末のヨーロッパとは何だったのかをちょっと考えてみましょう、というところで終わりましたね。

そー言えば、今だと映画よりもテレビの方が身近じゃないすか。テレビは毎日見るもので、映画は時々見に行く、みたいな。だから僕なんかずーっとテレビが先に発明されて、映画はその後にできたんじゃねーの?なんて思ってましたねぇ。なんかこう、あれですよ、「20世紀初頭にウクライナのスヴェツニコフ・ヤンコフ博士(仮名)が、テレビの原理を応用して、大画面に映像を投影できることを発見した。映画の誕生である。」みたいな感じですよ。
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この誤解は僕だけですか?そうですか。

はい余計な話でした。

今回はその19世紀末のヨーロッパについて、「テクノロジー」という観点から少し書きたいと思います。
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映画はどこから来たんだろーか その壱
とりあえずこのブログの一番基礎となる部分の説明は前回のエントリーまででなんとか終わりましたので(これからもちょこちょこ足して行くと思いますが)、これから10月の本格稼動までは、映画学については映画学のさわりとか参考になるような文章を少しずつ書いていきたいと思います。

今回は、「映画はどこから来たんだろーか」。多分三回くらいに分けてお送りします。



映画は1895年にフランスのリュミエール兄弟によって発明されました。
lumiere_kyodai.jpg
この人たちですね。なんかパッと見すっごい仲良し兄弟。誕生が1895年なんで、今年で映画は110歳になるわけです。ちなみに、実はあの発明王エジソンも同時期に映画の発明に取り組んでいて、絵が動く装置をリュミエール兄弟よりも少し前に発明してはいるんですが、それは箱を覗き込んでそん中で映画が流れてる、みたいな感じだったので、今の映画の直接の先祖とは見なされず、一般的にはリュミエール兄弟が映画の発明者ってことになってます。

今でこそ僕らはテレビやパソコンなんかもある中で、世の中に溢れ返っている映像メディアの一つとしてフツーに映画を見るわけですが、発明当時の映画は史上初の映像(動画)メディアだったわけですから、発明当初の衝撃といったらそりゃすごかったわけです。

リュミエール兄弟が撮った映画の有名なものに、ただ駅に機関車が入ってくるだけ、ってのがあります。
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これ↑ですね。今だったら何でもない映像ですが、これを見て当時の観客はホントに電車が来ると思って慌てて逃げ出したって話ですから、やっぱり全く新しいものだったんでしょうね。
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もうこんな勢い↑ですよ。多分。やっぱりそこらへん余りにも映像に慣れすぎた僕らにはほとんど理解できない感覚なわけです。でも、それでも初期の映画を作り上げていったエネルギーってのはそういった衝撃や好奇心、感動といったものたちですから、当時の人たちが映画をどのように見たのかを知るために、彼らがどういった社会に生きていたのか、彼らにとって「テクノロジー」とは何だったのか、そして当事のヨーロッパがどのような思想上の転換点にあったのか、といった辺りをちょっと考えてみるのは「映画の誕生」という現象、ひいては映画自体を理解するために、なかなか大事なことなんじゃないかなーと思います。

では、「その弐」へつづきます
「映画学入門」、こんな感じです。
このブログで主に扱う大学のコース「映画学入門」のカリキュラムです。実際このブログでは大学の授業を丸写しするわけではなくて僕が自分なりにまとめたものを書くわけですし、教材になっている映画が日本で手に入りづらい場合などは僕が代わりの映画を考えたりすることもあったりするでしょうから、これはあくまで目安です。まぁだいたいこんな感じの内容で、だいたいこんな感じにすすんでいきますよー程度に考えてくださいね。それと、繰り返しになりますが実際にこの「映画学入門」のコンテンツが始まるのは新年度が始まって僕が大学に戻る10月からになります。そこで実際に大学で授業として行われている「映画学入門」を聴講(三年前に一度とったコースですが)しながらすすんでいく感じです。

なにぶん僕の拙い訳なんで専門用語や翻訳不能だった言葉など、ちょっと難しい部分もあるかも知れませんが、そこんとこは実際にとりあげる時にじっくり説明/翻訳していきますんで、今はとりあえず読み流してくださいませ。

第1回
テーマ:「見る装置」の誕生
教材:リュミエール兄弟の短編映画
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第2回
テーマ:視覚の欲望
教材:アトラクションとしての短編映画(メレイスの短編など)
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第3回
テーマ:物語と映画の文法
教材:東への道 (1920) 監督:グリフィス
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[「映画学入門」、こんな感じです。]の続きを読む
お友達の個展のお知らせ
今日の仙台は台風一過で昼間はスゲー暑かったですが、夜はとても涼しくて快適だったのでありました。なじみの喫茶店がお引越しをしたのでそのお引越し記念パーティーへ。外でお酒を飲むにはサイコーの夜でした。

さて、映画学には関係ない話なのですが、その喫茶店で働いているお友達がもうすぐ東京で絵の個展を開くので、そのお知らせをさせてくださいませ。

馬渡裕子さんという人で、今仙台でとても評価されている人です。独特の不思議な絵で、僕はとても好きなんです。個展「Dummy」が銀座の「Gallery銀座フォレスト」というギャラリーで9月19日月曜日から9月24日土曜日までの開催です。
Dummy DM


詳細につきましては、馬渡さんのホームページ「Kingdom」の「NEWS」をご覧ください。ギャラリーの地図も載っていますので。馬渡さんのホームページでは、過去の作品の画像を見ることもできます。今回の個展には出ていないのですが、
「メランコリック・キングダム」
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「Red」
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などは個人的にホントに好きな作品です。

仙台に住んでる方はちょっと東京まで出て行くのは難しいと思いますが、首都圏に住んでる方はぜひ足を運んでみてくださいませ。
これからどーやって進んでいくのか
んではその映画学を紹介するって具体的にはどんな感じでやっていくんじゃー、ということですが・・・・

中心となるコンテンツは、エセックス大学映画学科の一年生がとっている、
Introduction to Film Studies(日本語に直すと「映画学入門」かな?)
というコースを僕なりにまとめて日本語に直したものです。僕が個人的にまとめたものになるんで色々と至らぬところも多いと思いますが・・・。このコースは僕も2002年から2003年にかけて取っていたのですが、もうすぐ始まる2005-6シーズンにもっかい聴講しながらまとめていく予定です。実際のコースと同じテンポ(一週間に一テーマ)で進んでいければいいなーなんて思ってます。僕の大学は、基本的に週単位で動いています。

大学の映画学科では、まず週初めのあたりにコースをとってる連中がみんなでその週の教材になっている映画を見ます。そんでその後に少人数制のクラスに分かれてその週のテーマについて先生が話したり生徒が質問したり・・・ってな感じなんですよね。例えば四週目だと;
テーマ:モンタージュ
映画:戦艦ポチョムキン

となっていたりします。なので、近いうちに教材になっている映画のリストをUpしますので、時間のとれる方はその映画をツタヤかなんかで借りて、見ていただいてから授業のとこ読んでみるとなかなか面白いかも知れません。もちろんいちいち映画見てる時間のない方も多いでしょうから、なるべく映画見てなくても分かるように書くつもりではありますが。



さて、この映画学入門が芯になっていくわけですが、その他にもいくつか書いてみたいことはあるんです。まずですね、自分は映画学だけじゃなくて美術史もやっております。その美術史の方からシュールリアリズムについてのコースを修士でとるので、それについても時間があれば書いていきたいと思ってます。シュールリアリズムについては、映画学の方でもシュールリアリストのルイス・ブニュエルとダリが撮った「アンダルシアの犬」を取り上げたりしますし、うちの大学にはシュールリアリズムの研究で有名なドーン・アデス(Dawn Ades)というおばちゃん教授がいるので、色々と書くこともあるかなぁと思うんですよね。Dawnはパッと見ホントに普通のおばちゃんなので、シュールリアリズムの世界的な権威なんだと聞かされた時はかなり焦りました。ずっと事務員さんだと思ってましたもの。

それと映画学について、主に取り上げる「映画学入門」は一年生のコースなので、二年、三年とあがっていくと、またもうちょっと突っ込んだ内容の映画学をやったりします。不定期的にそん中からも自分が今までとってみて面白かったコースや面白かったテーマの話なんかをちょくちょく書いていければと思います。



では、次回は映画学入門の具体的な内容なんかを書こうと思います。
ずいぶんと長文ですいませんでした。

なんか写真とかないと寂しいから、僕の大好きなユーリ・ノルシュテインの「霧につつまれたハリネズミ」からなんとなく一枚。いいですよ、ノルシュテイン。機会があればぜひ。

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はじめに
みなさんはじめまして。
管理人のタカと申します。

ページの一番上にも書いてありますとおり、このBlogでは「映画学」というものをみなさんに発信していきたいと思っています。でも普段フツーに楽しんで観てる映画に「学」なんて付けちゃって、ちょっと小難しい感じに見えるかも知れないっすね。

もちろん映画は楽しんで観るのが一番でして、無理して小難しく考える必要なんてないわけであります。ただ、映画というものの奥の深さ、社会との結びつきの強さなんかを考えてみると、やっぱり映画をちょっと学問的に見てみることによって分かってくることってたくさんあると思うんですよね。映画の表現技法や映画史だけでなく、社会、宗教、歴史などといったものの新たな一面を映画を通して知るということが充分に「楽しい」ことであれば、僕は映画学なんてのもアリだなと思うわけです。楽しければいいじゃないすか。ねぇ。

自分は映画学の権威でもなんでもなくただの学生ですから、正直学問的に込み入った話なんかはなかなか難しいのですが、せめて自分が感じたような映画学の「楽しさ・面白さ」といったものは頑張ってみなさんに伝えられればと思っています。

ではみなさま、これからよろしくお願いします。

タカ
「映画学入門」 目次(これまで扱った分)
映画学入門(Introduction to Film Studies)

これまでやってきた分の目次


「映画学入門」は、うちの大学で映画学(Film Studies)をやる学生が一年生のときに必修として取るコース「Introduction to Film Studies」を俺が自分なりに解釈したり手を加えたりしながら日本語に直してみたものです。俺も3年前、自分が一年生の時にこのコースをとったわけですが、今年またこのBlogを書くために聴講してみました。全体的には3年前と同じでしたがちょっと変わってるところもあったので、このBlogは基本的に今年の内容に沿ってつくりながらも、3年前しかやんなかった内容や、その他に自分がその後の映画学で習ってきたことなんかも色々盛り込んでいる次第です。

Week1
テーマ;「映画以前」と映画の誕生
映画;リュミエール兄弟の映画たち


・その1 さまざまな映像装置 
・その2 そしてリュミエールへ
      リュミエールの映画たち


Week2
テーマ;「物語以前」 視覚的アトラクションとしての映画
映画;ジョルジュ・メレイスの映画たち


・その1 19世紀の西洋世界
・その2 アトラクションとしての映画
     映画文法の萌芽


Week3
テーマ;D.W.グリフィスの登場と映画文法の確立
映画;「東への道」


・その1 「初期映画」のおさらい
・その2 「継続的編集」(Continuity Editing)とは?
・その3 D.W.グリフィスと、彼がもたらしたもの
・その4 D.W.グリフィスと、彼がもたらしたもの(つづき)

Week4
テーマ;「カリガリ博士」と「メゾンセン(mise-en-scene)」
映画;「カリガリ博士」


・その1 映画にとっての1920年代とはなんだったか
・その2 「メゾンセン(mise-en-scene)」とは?
・その3 「カリガリ博士」と表現主義映画

Week5
テーマ;「戦艦ポチョムキン」と「モンタージュ」
映画;「戦艦ポチョムキン」


その1 編集とモンタージュについての基本的な定義
その2 「戦艦ポチョムキン」を歴史上の文脈に位置づける

その3 エイゼンシュタインとモンタージュ

Week6
テーマ;シュールリアリズムと映画
映画;「アンダルシアの犬」


その1 シュールリアリズム
その2 「アンダルシアの犬」と、映画という枠組み
その3 「解釈」という行為

Week7
テーマ;トーキー映画の登場 - 映画が喋る!
映画;「ジャズ・シンガー」


その1 サイレント映画はサイレントじゃなかった?
その2 トーキーはいつから始まった?
    トーキー映画の映画産業への影響

その3 Diegetic SoundとNon-Diegetic Sound
    「ジャズ・シンガー」


Week8
テーマ;「市民ケーン」とDeep Focus
映画;「市民ケーン」


・その1 Deep Focus
・その2 「見る」という作業の変化
     リアリズムの問題


Week9
テーマ;Classic Hollywood
映画;「北北西に進路をとれ」


・その1 Classic Hollywoodとは?
・その2 Classic Hollywoodとは?(つづき)
・その3 Classic Hollywoodとは?(つづきのつづき)
・その4 Classic Hollywoodのテクニック
・その5 Classic Hollywoodが意味するもの

Week10
テーマ;Classic Hollywoodへのアンチテーゼ
映画;「勝手にしやがれ」


・その1 「アートシネマ」の考え方
・その2 「アートシネマ」の考え方(つづき)
・その3 「アートシネマ」の考え方(つづきのつづき)

Week11
テーマ;Cinematography - 映画の視覚情報(前編;光と色)
映画;「黒水仙」


・その1 映画監督と撮影監督
・その2 Cinematographyとは?
・その3 「黒水仙」の光と色

Week12
テーマ;Cinematography - 映画の視覚情報(後編;画面構成/フレーミング)
映画;「レオン」


・その1 Framing(フレーミング)の力
・その2 アスペクト比の歴史
・その3 アスペクト比の歴史(つづき)
・その4 ワイドスクリーンのつくりかた
     ワイドスクリーンの画面構成


Week13
テーマ;映画におけるパフォーマンス
映画;「こわれゆく女」


・その1 メソッド・アクティング(Method Acting)とは
・その2 メソッド・アクティング(Method Acting)とは(つづき)
・その3 シネマ・ヴェリテ(Cinema Verite)とカサヴェテス
・その4 シネマ・ヴェリテ(Cinema Verite)とカサヴェテス(つづき)

Week14
テーマ;映画は誰のもの?Auteur Theory(作家主義)
映画;「不安の魂」&「ペトラ・ヴォン・カントの苦い涙」


・その1 歴史化(Historicizing)ということ
・その2 Auteur Theory(作家主義)とは?
・その3 Auteur Theory(作家主義)とは?(つづき)
・その4 Auteur Theory(作家主義)とは?(つづき)
・その5 映画監督R.W.ファスビンダー





プロフィール
このスペースはmixiのプロフィールからリンクしてあって「詳しいことはこちらに・・」ってな感じで使ってもいるので、ちょっと饒舌なのはご容赦ください。。。

1982年生まれの仙台出身。

トトロやムーミン、くじらなどに似てると言われながら、とりとめのないことを考えつつ暮らしております。

2001年10月~2005年6月はイギリスのEssex大学で学士課程。
映画学と美術史を勉強していました。

今は同大学の大学院で映画学と美術論を勉強しています(2006年9月まで)。修士論文は映像製作で、いくつかの違った映像を同時に見せるというテクニックに取り組んでみようと思っています。

映像製作は、実は昔からやっております。
なんか、へんなのを。地味な感じに。

でも映画学とかやってるクセに実は映画ってあんまり好きではなく、物語としての「映画」よりも見るもの、感じるものとしての「映像」の方に興味があるみたいです。自分の映像製作も、そういう映像について色々と実験・表現するもの、という位置づけですね。とても曖昧な言い方ですが、脚本やコンセプトなどの「映像化」ではなく、映像以外のものに還元できない映像というのをなんとなく目指しつつやっています。

美術論の方は主にシュールリアリズムに興味があります。ただ、シュールリアリズムといっても美術史上の芸術運動としてのシュールリアリズムというよりは、「ある一定の精神的志向」(byヤン・シュバンクマイエル)としてのシュールリアリズムに積極的かつダラダラと取り組んでいます。

具体的には;
・ブルトンとバタイユ
・シュールリアリズムと写真
・チェコのシュールリアリズム
・シュールリアリズムと精神分析
・シュールリアリズムと錬金術
・シュールリアリズムと映画
・バタイユ、Document、またその周りの人々
といったあたりが特に興味のある分野です。

好きな映画は;
「ざくろの色」
ジョナス・メカスの映像たち
ヤン・シュバンクマイエルの映画たち
「アンダルシアの犬」
「ストーカー」
「パンと植木鉢」
「8 1/2(はっかにぶんのいち)」
「ストレンジャー・ザン・パラダイス」
「霧につつまれたハリネズミ」
などなど

シュールリアリズムの他には;
ダダイズム全般
エミール・ノルデの水彩画
ジョセフ・コーネルの箱
クイント・ブッフホルツの絵
樋口佳絵さんの絵
馬渡裕子さんの絵
Robert Parkeharrisonの写真
なんかが好きだったりします。

あとグレン・グールドのピアノがとても好きです。


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