映画学メモ
日本ではまだイマイチ馴染みの薄い「映画学」なるものを、イギリスの大学から実際の映画学の授業に沿うかたちで紹介していきたいと思います。まー気楽にいきましょう。
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突然シュールリアリズムの話
このBlogのメインとなるコンテンツは「映画学入門」ですが、それと平行してとりあつかっていきたい話題にシュールリアリズムがあります。「映画学入門」は一年生のコースをまた辿るわけですが、シュールリアリズムについては大学院の方でコースを一つとるので、そこからの話題を中心に。

さて、シュールリアリズムといえば、みなさんどんなイメージがありますかね?
やっぱりコイツ↓
dalidalidali.jpg
とか、こういうの↓
lagrandefamille.jpg
あたりでしょうか。

これは個人的な印象なんですが、一般的なイメージとして、シュールリアリズムって美術史における色んな運動の中でもかなり馴染みがあって、イメージが固まっている運動なんじゃないかと思います。
sur-kun.jpg
なんてのもありましたしね。みんな覚えてますかー。

参加していたアーティストとしてはダリ、マグリットなんかが有名で、作品なんかもどっかで見たことあったりすると思います。シュールリアリズムの中身についても「シュール」なんて言葉が一般的に使われたりするぐらいですから、なんかこう、非現実的、幻想的・・・みたいな感じじゃねーの?っていうように、それなりに馴染みのある運動なんじゃないでしょうか。例えば印象派、未来派、表現主義、キュビズムなどといったところと比べると、シュールリアリズムは明らかに馴染みがあって、はっきりとしたかたちをみんなの中でもっているように思います。

でもそんなシュールリアリズムが、実は未だにその評価と美術史上の位置付けがまったく定まってなくて、ものすごく色んな解釈や受け取り方がある、というとこに、シュールリアリズムの特殊性があるんです。全盛期が1920年代、30年代だったムーブメントなのに、いまだにものすごくアクティブな研究分野なんですよね。
例えばうちの大学でシュールリアリズムを教えているドーン・アデス(Dawn Ades)さんは、シュールリアリズムの研究で有名な人ですが、僕の知る限り彼女が有名なのは、「シュールリアリズムとは・・・・である」という風にいわゆる定まった「真理」を探しているからではなくて、今までシュールリアリズムについて信じられていたことを次々と再検証して新たな可能性を提示したりして、シュールリアリズムを分解しているからみたいです。彼女はシュールリアリズムがダダイズムから直接派生した、という今までの定説に疑問を呈したり、「シュールリアリズムにおいては女性は欲望の対象として抑圧されていた」という定説を再検証したりしています。

ちなみに彼女がコースパンフレットに書いていることを一部だけ勝手に訳してみますと・・・

シュールリアリズムは、現代美術史の中で未だその位置付けが定まってはいません。それはチェコのシュールリアリスト、トヤンが言ったように、アート・ムーブメントと呼ぶよりは「ある倫理観に基づいたコミュニティー」だったのです。1924年にアンドレ・ブレトンの「シュールリアリズム宣言」によって始まったシュールリアリズムは、当初文学・詩・言語・その他あらゆる「人間の表現」についてのムーブメントであり、視覚芸術を中心として取り組んでいたわけではありませんでした。しかし、ダダイズムの「反芸術」という姿勢を継承することによって、またシュールリアリズム自身の中にあったフロイトやマルクスの理論との関わりを経て、シュールリアリズムは様々なかたちでのアートを提示するようになり、そしてアートが慣習となることを攻撃することによって20世紀全体、また21世紀の芸術に計り知れない影響を与えることになります。

最初のほうに書いてある「アート・ムーブメントと呼ぶよりは{ある倫理観に基づいたコミュニティー}だったのです」というところはとても大事なことです。原文では"community of ethical views"となっていました。
 シュールリアリズムの直系の先祖とされるダダイズムをのぞけば、それまでのアート・ムーブメントはみんな表現上の問題から発生したものでした。それまでの表現技法に飽き足らないとか、それまで題材とされなかったものを描きたいとか、そういうとこから出てきたわけです。だから政治に関心はあっても、基本的に政治と深く関わったりすることはなかった。でもシュールリアリズムは明確に世の中を変えよう、みんなのものの考え方を変えよう、という意識をもって生まれ、政治運動にも積極的に関わっていくことになります。これって画期的なことですよね。そしてこういった側面がある以上、美術としてのシュールリアリズムを語っても、シュールリアリズムを語り尽くしたことにはならないわけです。

またドーンさんの書いてる文章に「フロイトやマルクスの理論との関わりを経て」とあります。つまり、あのクソ長い「映画はどこからやってきたんだろーか その参」を全部読んでいただいた奇特な方はお気づきのことと思いますが、映画の誕生と同時期であり、またその発展と深いかかわりのあった19世紀末の思想的転換に、シュールリアリズムもまた深く関わっているわけですね。
20050904135620.jpg
映画とシュールリアリズムは「映画学入門」の第5回「シュールリアリズム的映像」で出会うことになります。教材の「アンダルシアの犬」は2人のシュールリアリスト、ダリとブニュエルが作った映画でした。


シュールリアリズムってのはホントにつかみどころのない、難しい分野ではありますが、それだけにちょっとだけ深く知ってみると万華鏡のように面白い分野であります。いわゆる芸術だけでなくて色んな分野に影響を与えていますしね。そんなシュールリアリズムについても、このBlogではちょくちょく発信していければと思います。
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コメント
この記事へのコメント
どもです。
写真に添えられたコメントが~~ww
個人的にツボ過ぎてつい書き込んでしまいました。
これもシュールと言ってよいのでしょうか?
まだまだ私には難しいところもありますが
楽しく拝見しています。また来ますー!!

2005/09/05(月) 01:19:22 | URL | yoni #-[ 編集]
>yoniさん
こんにちはー。
いつもありがとうございます。

ダリの顔とかホントいじりやすくてこまります。次は顔に直接ラクガキしよかな。

なるべく分かりやすく書いていくつもりですが、分かりにくいところなどありましたらぜひ「ここってどうなのよ?」とツッコんでくださいませ。

ではまたのお越しをお待ちしております!
2005/09/05(月) 14:10:59 | URL | タカ #6SWgxDAM[ 編集]
だ、ダリ!?
あのー、あれだけダリ好きダリ好き言って、大英博物館3分で出たくせにダリ美術館にはやたらに行きたがったりしてみたりしてたのですが。(もちろんそこにはダリの写真もあるじゃないですか?)

この写真見たとき”へ~良くこんな写真みつけたわね~、どっかの芸人さん?”くらい思った私はダリ好き失格の臭いが?
2005/09/06(火) 16:50:31 | URL | seiko #-[ 編集]
>seiko
まぁダリの写真見て「どっかの芸人さん?」って思うのはそんなに的外れでもないような気がするけどねぇ。かぽーん。

別にダリの絵が好きならダリの顔なんてどうでもよいのよ。
2005/09/06(火) 18:09:59 | URL | タカ #6SWgxDAM[ 編集]
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