映画学メモ
日本ではまだイマイチ馴染みの薄い「映画学」なるものを、イギリスの大学から実際の映画学の授業に沿うかたちで紹介していきたいと思います。まー気楽にいきましょう。
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ちょっとだけ映画学 ===エイゼンシュタインとモンタージュ理論===
ふと思い立ったので、10月の本格稼動まで何回かネタもないし「ちょっとだけ映画学」ってのをやってみよーかなーと思います。10月から始まるコース「映画学入門」の方でとりあげる話のうちいくつかについて、さわりだけ書いてみよう、という企画です。さわりだけなんで、どうしても浅い話になっちゃいますが、例えばこんなことやるんですよー、みたいな感じで。
20050908015034.jpg


今回は、「エイゼンシュタインとモンタージュ理論」というお題です。大体1920年代の話で、このお話は映画学入門の第5回のお題です。まぁなんだか難しそうなお題になってしまいましたが、「エイゼンシュタイン」ってのは人の名前でロシア(当時ソ連)の人ですね。
この人↓
Eisenstein_eigabaka.jpg
いやー、いい顔してるなぁ。もっとマトモな顔した写真もあったんですけど、せっかくですのでこれで。いかにも変人監督、ってな雰囲気でステキです。1898年から1948年まで生きた人でありました。
そんなエイゼンシュタインは映画理論についてお堅い論文をずいぶん沢山書き残しておりまして、モンタージュ理論ってのは彼の代表的な研究なんですね。第5回の教材映画になっている「戦艦ポチョムキン」は、彼がモンタージュ理論の実験を試みた作品です。なにぶん古い映画なので、現代の基準で「チョー面白い!」ってなわけにはいきませんが、とても興味深い作品なのでお時間のある方はぜひ見てみてください。

さて、ではモンタージュ理論とは何か。・・・おおまかなところだけですけどね。
個人的に、これは映画の本質、というものを捉えた理論の一つなんじゃないかなーと思います。なかなか好きです。モンタージュ、という言葉を聞くと、最初に何が浮かびます?僕なんかはやっぱりアレだったんですけどね。
こういう↓やつ
20050908032154.gif
まさに魅惑のバリエーション。まぁエイゼンシュタインが言ってるモンタージュ理論のモンタージュ、ってのも根本的にはこういうことなんですがね、ものすごく強引に言っちゃうと、ショットAとショットBとの衝突から、観客の頭の中にアイデア「C」が生まれる、ということでしょうか。

映像として直接語られてはいないものを表現する、という技法(というか映画が本質的に持っている要素のようなもの)です。

人間って直接関係ないものを二つ続けて見ても、それらを関係付けずにはいられない生き物みたいなんですよね。だから、例えば映画の中で、まず行進している軍隊を見たとします(ショットA)。そんで、そのすぐ次にその軍隊は全く映らないままに、泣いている子供の映像を見たとする(ショットB)。これは、物理的に全然違う場所でもいいんです。そうすると、僕らはこの二つを関係付けて考えてしまう。軍隊の横暴だとか、虐げられる民衆とか、威圧感みたいな印象を受けたりするわけです(アイデア「C」)。でも、この軍隊のショットの後に、もし歓喜する民衆の映像を見たらどうでしょうか。そうすると、軍隊のショットは全く同じなのに、軍隊の勇ましさ、頼もしさや、解放、といった印象を受けますよね、きっと。
写真なんであんま雰囲気でませんが、無理やりモンタージュごっこをすると、
20050908031629.jpg

20050908031638.jpg
との違いってことになりますかね・・・。かなり無理やりですが。。

これって当たり前に聞こえるかも知れませんが、考えてみるとけっこースゴイことで、軍隊のショットにもその後のショットにも、具体的に「虐げられる民衆」とか「軍隊の勇ましさ」とか語られたり書かれたりしてるわけじゃないのに、僕らがそう受け取るわけです。つまりここで大事なのは、例えコントロールされているにしても、モンタージュにおけるアイデアというのは、観客が自分で連想する、ということです。言い換えれば、観客も参加して意味を作っていくんですね。基本的にそれまでの映画では、観客はホントに見るだけで、映画の「意味」というのは全部映画の中にはっきりすぎるほどはっきり明示されていたわけです。例えばさっきの軍隊の例を使うと、「虐げられる民衆」だったら軍隊が鬼のような顔して民衆をいじめてるところがはっきり映すし、「ヒーローとしての軍隊」だったら、もう明らかにそうとわかるように軍隊と、それに手を振る民衆を一緒に撮って、軍服着たカッコイイ男が爽やかに微笑むところのクローズアップとか撮っちゃうわけです。これだとどうしても単純になってしまいますよね。時間的にも空間的にも、そこにあるものを、ベタベタに撮るしかないわけです。だから編集の魔術によって複雑な表現を可能にしたモンタージュ理論ってのは、映画の技法という点で大きな進歩だったのです。

また、モンタージュ技法の登場によって、映画が時間的、空間的に自由になります。あるショット「A」の後に、時間的にも空間的にも全く関係ないショット「B」をつなげて、そのふたつのショットの衝突で映画の意味を(観客とともに)作っていく、ということになるわけです。だから、例えば演劇をずーっとカメラで撮ったものと映画との根本的な違いは何か、っつうとモンタージュの要素があるかないか、ってとこに繋がってくると思うんですよね。演劇は空間的として一つだけど映画は一つではなくて、編集されているものですから、本来物理的には繋がり得ないものが時間的に繋がって見せられることがある。そして、それによって観客の中に映像そのものの中には存在していなかった意味が生まれる、というのが映画ならではの表現技法の一つなんではないでしょうか。
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コメント
この記事へのコメント
はじめまして
Eisenstein, Soviet Montage, Battleship Potemkin,映画学ど真ん中、いいですね~!リンクさせて頂きます<(_ _)>
2005/09/09(金) 16:07:56 | URL | Depper #hJZqYFTY[ 編集]
はじめまして!
>Depperさん
リンクいただいてありがとうございます!Depperさんのサイト「フィルム・アカデミア」も拝見させていただきました。すごく面白そうですねー。映画について、お互いなかなか似た感じのアプローチなように思いますので、とても勉強になります。こちらからもリンクさせていただきますね。

こちらは10月から本格稼動となっておりますが、九月の間もちょくちょく更新していきますので、ぜひまた遊びに来てくださいね。
2005/09/10(土) 15:54:19 | URL | タカ #6SWgxDAM[ 編集]
うお。映画バカまるだし?
良いですね、両方とも写真が。
2005/09/10(土) 20:58:15 | URL | epha #-[ 編集]
<ephaさん
はじめましてー。
書き込みありがとうございます。

エイゼンシュタインのあの写真は、僕大好きなんですよねーww ホント映画バカって感じで。
2005/09/11(日) 02:44:35 | URL | タカ #6SWgxDAM[ 編集]
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