映画学メモ
日本ではまだイマイチ馴染みの薄い「映画学」なるものを、イギリスの大学から実際の映画学の授業に沿うかたちで紹介していきたいと思います。まー気楽にいきましょう。
201706<<12345678910111213141516171819202122232425262728293031>>201708
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
映画学入門 Week 1(つづき)
「映画以前」と映画の誕生(つづき)

みなさんこんにちは。Week1の残りの部分を書くのが遅れちゃっててすいませんでした。部屋で使ってるパソコンちゃんがですね、ウィルスに感染あそばしまして、学内LANから締め出され、ネットにつながらない状態でありました。ぼちぼち復旧する予定ではありますが、今も学校のコンピューターラボからこのエントリーを書いている次第でございます。



2、そしてリュミエールへ - Persistence of Vision

前回は、マジック・ランタンとかファンタズマゴリアとか映画以前の映像装置のことについて書きました。さっさと1895年までいってしまいたいとこですが、ここからリュミエール兄弟による映画の発明までに、もうひとつだけ触れておかなきゃいけない映像装置があります。ゾエトロープ(Zoetrope)っつうやつで、マジックランタンやファンタズマゴリアが大雑把に言って18世紀くらいまでのものだったのに対してゾエトロープは19世紀前半の発明であります。
こんなやつです↓
ZoetropeTopView0315.jpg
んで、なんでこのよく分かんない機械について触れるのかというと、ゾエトロープはそれ以前の映像装置とは根本的に異なるある原理を使った映像装置で、それが映画の発明に必要不可欠なものだったからなんですね。その原理がPersistence of Vision(パーシスタンス・オブ・ビジョン=残像現象、または映像の残留)であります。



このBlogでは、基本的に映画の専門用語も日本語に訳していくつもりなのですが、Persistence of Visionについてはイマイチ適当な日本語訳が見当たらなかったので、原語のまま書いていきますね。

このPersistence of Visionというのは、人間の視覚機能が早すぎる映像の切り替えについていけなくて、残像としてそれらの映像をつなげてしまう現象のことです。要するにパラパラマンガを動いているように認識してしまう機能のことですね。あれは一つ一つの絵は動いていないけども、人間の視覚が動いているように認識するわけでじゃないですか。結局は映画も一秒間に24コマ流れる静止画を僕らが動画と勘違いするわけですから、パラパラマンガと同じ原理で動いてるんですよねー。だからPersistence of Visionの発見と応用は映画の発明に欠かせないものでありました。

ZoetropeはこのPersistence of Visionを使った映像装置でありまして、この筒みたいなのを回して、縦長の切れ目から中の馬に乗った人の絵みたいなのを見るんですね。これが一つ一つ微妙に違っているのでそれらが動いて見えるというものです。
違うZoetropeからですが、動きはこんな風に見えます↓
zoetrope.gif
短い動きのループになるわけですね。



3、リュミエールの映画たち

さて、そしてこれらの発明を経て、1895年リュミエール兄弟がcinematograph、つまり映画を発明します。リュミエール兄弟の最初の映画たちは、ここで見れますよー。Institut Lumiereというサイトさんです。みんな短いので、ぜひ見てみてください。
20051019052209.jpg


んで、これらの映画たちってのはただ「へー最初の映画ってこんなんだったんだー」と見ていただければOKなんですが、ひとつ大事なこととして、後の映画の発展と関係してくるさまざまな要素がすでに映画の誕生直後から存在していたということがあります。リュミエール兄弟の映画って、パッと見はいわゆるドキュメンタリー・タッチで、目の前にあるものをただ撮っただけのように見えるじゃないですかー。上のリンク先の一番最初にある「La Sortie de l'Usine(工場を出る)」なんかがそうですね。ただ工場から人が出てくるのを撮っただけです。ただ淡々と。でもよく見ると、そこには何らかの「意思」がやはり働いています。たとえば「距離」。「工場から人が出てくる」という映像を撮るために最も適切な距離が撮られていますし、画面構成もしっかりしたものになっています。
z_91z.jpg


また、上のリンク先にはないんですが、リュミエール兄弟の映画の中には、「ただ壁を壊すだけ」、ってのがあります。ただこれはスゴくてですね、壁を壊した後に、そこまでのプロセスがそのまま逆再生されるんですよ!だから壁が、こう、うにょーんって元に戻るわけです。これって、特殊効果(Special Effect)なわけですよねー。そういうのも映画の誕生当時からその原型を見ることができたんですね。

そしてもう一つ、6番目の「Le Jardinier (l'Arroseur arrosé)」を見ていただくと、そこにははっきりと物語(Narrative)の原型を見ることができます。これは他のドキュメンタリー的な映像とは違って明らかに起承転結がありますよねー。オチまでちゃんとついてるわけです。ちょっと不器用な感じですが・・・・。またこの映像についてもう一つ大事なことは、倫理観、という要素が入っていることです。つまり、いたずらをした男の子が叱られる、ということで、モラルの概念、教育的な要素が持ち込まれているんですよね。これも、初期の映画が強くもっていた要素の一つで、以後宗教的、社会的なレベルで教育的なニュアンスを持った映画が多く作られることになります。
vueslum3.jpg




このように、まだ原始的なかたちではあっても、発明当時の映画たちの中に、後の発展を示唆するようなものがたくさん含まれているわけです。リュミエールは映画を発明当初から商業的なものとして扱い、世界を股に駆けて興行していきますから、以後映画メディアは急速に発展していくことになります。

次回は初期の映画の特徴などを、ジョルジュ・メレイスの作品などを中心に書いていきたいと思います。
スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する

管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
世界中のどこの水族館へ行っても、オレンジと黒と白の配色が鮮烈なカクレクマノミは人気者だ。先日、『V フォー・ヴェンデッタ』の取材でシドニーに入ったとき、オセアニア最大という「シドニー水族館」へ行ったが、そこでもクマノミのところには黒山の(ブロンドや赤毛も
2006/06/06(火) 12:48:12 | The MouvieBuff Diaries
copyright © 2004-2005 Powered By FC2ブログ allrights reserved.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。