映画学メモ
日本ではまだイマイチ馴染みの薄い「映画学」なるものを、イギリスの大学から実際の映画学の授業に沿うかたちで紹介していきたいと思います。まー気楽にいきましょう。
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映画学入門 week4
Week4

カリガリ博士と「メゾンセン」


早いものでこちらの秋学期(10-12月)も半分終わってしまいましたよ。イギリスはサマータイムが終わったので、もう5時には外真っ暗です。

今日はせっかく100ページ近くも本をコピーしたのに、自分「コピーした」という事実にすっかり満足したらしく、フツーに全部コピー機に忘れてきましたよ。何事もなかったかのように。
bakusyou_lupin.gif
あはははははははh。 orz

・・・さて今回は映画「カリガリ博士」を題材に次のような内容になります。
1、映画にとっての1920年代とはなんだったか
2、メゾンセン(mise-en-scene)とは?
3、カリガリ博士と、表現主義映画





1、映画にとっての1920年代とはなんだったか
20年代というのは、映画というメディアにとって非常に大事な時代でありました。前回のお題だった、グリフィスが映画文法を確立させた、ってのが1910年代の話でしたが、その時点ではまだ彼と彼の映画文法はパイオニア、最先端だったわけじゃないですか。グリフィスの文法と、それによる新しい映画というのが一般に浸透して当たり前になってくるのが20年代なわけでして、まず20年代はContinuity Editingを基礎とした現代映画文法が一般に(作り手にも観客にも)浸透していくという意味で大事な時代になります。
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D.W.グリフィス「東への道」より

そして、基礎となる文法が確立されるということは、それに対して異を唱えたり、新たな文法を模索する動きがはっきりと出てくる、ということも意味します。ですから20年代は、特にヨーロッパにおいて、新たな映画文法を確立・提示しようとする試みが活発に行われたという点でも大事な時代です。今回のお題になっている「カリガリ博士」も製作年は1919年ということでまだギリギリ20年代ではないですが、大きく見るとこの流れの中にある映画と言っていいと思います。また来週と再来週もこの流れの中にあって、でもそれぞれ性質は異なる実験的な作品たちを取り上げていくことになります。
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「カリガリ博士」より

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セルゲイ・エイゼンシュタイン
「戦艦ポチョムキン」(1925)
来週のお題です。

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ルイス・ブニュエル&サルバドール・ダリ
「アンダルシアの犬」(1929)
再来週のお題です。

というわけでいったんまとめますと、1920年代とは支配的な文法の浸透と、それを変えよう攻撃しようという実験的な試み両極に向かってエネルギッシュに映画が発達していった時代でありました。

そしてもうひとつ付け加えておきますと、実験的な試みというのも大きく二つに分けることができまして;

・一般的な映画と同じく「物語」というものを扱いながらも、その見せ方や意味のレベルで新しいものを模索する(「内容」の実験)

・最初から一般的な映画と同じ意味では「物語」を扱わず、物語というものそのものを問題にし、それがどのように作られ、どのように意味を持つのか、また、映画というメディアそのものの特性(例えば絵画とも写真とも違う「映画の本質」とは何か)を追求する(「形式」の実験)


という風に、ホントに大まかですが、分けることができます。「カリガリ博士」は前者の方ですね。



というわけで、今回は「カリガリ博士」を扱うにあたって、また、グリフィスと、これから扱っていく実験的な映画との関係や文脈をはっきりさせるために1920年代のお話でした。

次回は「メゾンセン」という概念について書きますねー。

ではでは。
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テーマ:研究 - ジャンル:学問・文化・芸術

コメント
この記事へのコメント
今日は日本から
映画という媒体での表現幅を模索した大事な時期ですよね。何ができて何ができないのか、可能性はどこまであるのか、この時代映画に携わった人たちはすごくワクワクしながらやっていたように思えて、少し羨ましいです。いわゆる模索なので、実験的になりますよね。個人的にこの時代は好きですし、媒体能力が変わろうとしている現代にも通じるものが多々あるようにも思っています。
2005/11/10(木) 04:08:51 | URL | Depper #hJZqYFTY[ 編集]
日本はいかがですかー
20年代は、勉強すればするほど面白いなと思います。いわゆるトーキー、sync-soundが入ってきたのも20年代ですもんね。

あと20年代の世界情勢とか考えても、ドイツで革命がおきかけたりとかして、ホント何がどうなるか誰も分からない、っていう時代のエネルギーがあるなと思います。

そしてDepperさんも書いていたように、20年代っていうのは媒体能力が変わろうとしている現代にも通じるものがありますよね。デジタルなものの可能性がほぼ無限に広がりつつある中で、いろんな実験作品が出てきてるってのはホント面白いと思います。
2005/11/12(土) 14:39:29 | URL | タカ@映画学メモ #6SWgxDAM[ 編集]
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