映画学メモ
日本ではまだイマイチ馴染みの薄い「映画学」なるものを、イギリスの大学から実際の映画学の授業に沿うかたちで紹介していきたいと思います。まー気楽にいきましょう。
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映画学入門 Week8(その2)
そんなわけで、「市民ケーン」とDeep Focusの第二回目でございます。今回は映画学相互支援サイト「フィルム・アカデミア」さんの方でも同じ話題を扱っていただいたので、そちらも合わせてご覧ください。トラックバックを貼っておりますー。

7-20i1fkie.jpg

前回は、Deep Focusとは何ぞや、ということについてお話ししました。今回は、Deep Focusというものが持つ意味について少し掘り下げてみようかなーと思います。





・「見る」という作業の変化

前回触れましたように、それまでのShallow Focusでは映画的空間の中でちゃんと映る範囲が限られているわけですから、観客の視線はそこに集中され、そのまま移動せずに映像を見ることになります。当たり前ですが、フォーカスの合っている部分だけ見ているわけですね。ですがDeep Focusの映像、特に手前と奥などで別々の情報が存在する映像では、観客はスクリーン上の情報を得るために能動的に視線を動かし画面を読み取る必要がでてきます。つまり、一つのフォーカスされた「面」に集中していればよかったShallow Focusの場合とは違った見方を要求されることになります。観客にはっきりと意識されることは少ないですが。

ちょっと例を見てみましょう。写真が見つからなかったんで僕の手書きで申し訳ないんですが、「市民ケーン」の中で、ケーンの奥さんが睡眠薬で自殺未遂をするところです。
20051224015200.jpg
えーと下手っぴで申し訳ないんですが大体こんな感じでカメラの目の前に薬品、その奥に寝てるケーンの奥さん(名前なんていったっけかな・・)あとさらに奥に鍵がかかったドアがあって、ケーンともう一人の人がドアを押し破ろうとしています。そんでこの全てにフォーカスが合った状態になっているわけですね。典型的なDeep Focusでございます。ここでは別々のお互いに関係しあった情報が、空間の中の三つの層に分かれて存在しているということになりますよね。ですから、短い時間、意識しない作業ではあっても、観客はそれぞれを別々に自由な順番で知覚し、処理し、理解し、今何が起こっているのかを知ることになります。このように、Deep Focusというテクニックは、観客にShallow Focusの場合よりもわずかながら能動的な読みを強いる場合があるんですね。

ちなみにこの論理を発展させていくと、「Deep Focusは観客に、より自由な映画体験を与える」ってな意見にも繋がってきます。複数の情報の中からどれをどう見るか選べるわけですからね。ただ僕が思うにこれはちょっと極端な話でありまして、結局のところやはり映画というものはは様々なテクニックによって必要な情報を必要な方法で与えようとするわけですから、基本的なところでは僕たちの映画体験は映画にコントロールされている、というように考えるのが妥当な気がします。ただ、Deep Focusがより能動的な映画体験の可能性を持っている、というのはぜひ覚えておいていただきたいところであります。



・リアリズムの問題

Deep Focusってのは、Shallow Focusと違って空間の奥行きというものを表現することができるわけですから、より「リアルな」空間の表現が可能になった、と言われたりします。でもこれって結構難しい問題なんですよね。だって単純に考えて、普段僕らの目がものを見るときってShallow Focusで見てるわけじゃぁないですか。僕らの目は近くのものに焦点を合わせれば遠くのものはぼやけるし、その逆もまた然りですよね。そうすると、空間の奥行きを全てクリアに表現したDeep Focusは映画でしかありえない視覚体験ってことになるので、必ずしもリアルだとは言えなくなってくるんですよね。ここらへん、難しいところであります。別な言い方をすると、空間の中に存在するもの全てをクリアに描き出す、ということが必ずしも(現実に近いという意味での)リアルかというとそーでもないのでは、ということでしょうか。勿論普段映画を見ていてDeep Focusの場面があったからって僕らは違和感を覚えたりはしないわけですから、Deep Focusは映画的リアリズムと呼べるかも知れません。僕の先生は「映画はそもそも現実のものではないのだから、映画においてリアリズムを追求する、ってのは結局のところリアリズムと対極にあるハズの幻想主義(Illusionism)を追求することに繋がるよねー」なんて言っておりました。



ということで、Deep FocusについてのWeek8でありました。本来なら「市民ケーン」の映画自体についても触れたかったのですが、トラックバック先のエントリーでDepperさんが書かれているように「市民ケーン」にはあまりに色んな要素が詰まり過ぎているもので、正直きちんとまとめて書く自信がなく、また先を急ぐこともあり、このままWeek9へ行ってしまおうと思っております。

ではでは、また。
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テーマ:映画 - ジャンル:学問・文化・芸術

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2008/11/21(金) 18:59:22 | URL | #-[ 編集]
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