映画学メモ
日本ではまだイマイチ馴染みの薄い「映画学」なるものを、イギリスの大学から実際の映画学の授業に沿うかたちで紹介していきたいと思います。まー気楽にいきましょう。
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映画学入門 Week9(その5)
どうもお久しぶりでございます。

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映画学メモは、機械翻訳を応援しています。

最近なんで更新してなかったのかというと、次更新するとClassic Hollywood最後の会になっちゃうので、Classic Hollywood大好きな僕としてはClassic Hollywoodと別れるのが辛くて更新できなかったわけですね。
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・・・・ホントはレポートを書いておりましたー。冬休み明けあたりに提出のやつがありまして、気がついたら冬休みももう10日くれーじゃん!ってことで軽く焦りつつ。

ではClassic Hollywood最後の会いきましょー。

今回は、ちょっと小難しい話になりますが避けては通れないClassic Hollywoodが意味するもの、というお題です。Classic Hollywoodっていうのは単にテクニックや映画の組み立て方だけの問題じゃなくて、それは社会に対して一定の働きかけがあるんじゃないかなー、という話です。勿論ここんとこは人によって全然アプローチの仕方は変わってくるわけですが、とりあえず映画学において比較的一般的なあたりを取り上げようかなーと思います。

これは個人的な印象ですが、「社会と関わる映画」なんていうと多くの人はマイナーな映画とか暗い話の映画を思い浮かべるんじゃないでしょーか。Classic Hollywoodなんて社会と関わらない映画の代表格みたいなところだと思われがちな気がしますし、ある次元においては確かにそうであります。でも別な次元ではClassic Hollywoodはいわゆる「社会的」とかいわれる映画たちと同じくらい、またはそれ以上に深く社会と現実に関わっている、ということができます。それはClassic Hollywoodが「何を」描いているのか、ということよりも「どう」描いているのか、というところに拠るところが大きいんですね。

勿論ハリウッドも常に変化し続けているわけですが、このClassic Hollywoodが表現するひとつの「考え方」というのは今でもハリウッドの核であり、いわゆる「ハリウッド以外」の映画が自分たちの映画としての「考え方」を決める際の基準のようなものになっている、と言えます。

なんだか抽象的な話ばかりですいません・・・。
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そういえば、先日俺をすっかり骨抜きにしたスーパーサイケデリック脳内麻薬ムービー「キングコング」(リンク)はこのClassic Hollywood的な考え方を(おそらく意識的に)極限まで誇張してグロテスクに描くことで、ハリウッドへの批判になっているんじゃねーのかな、なんて書きました。

では具体的にこの「Classic Hollywood的な考え方」ってのが何なのかを「ハッピーエンドと現状維持」というものを例に考えてみませう。

☆「現状維持」という考え方
Classic Hollywood映画っていうのは、ほぼ例外なくハッピー・エンドで終わります。このハッピー・エンドっていうのも僕らはずいぶんとそれに慣らされてるわけですが、映画にとって当たり前のものではなくてひとつの考え方(思想、のようなもの)だと見ることができます。

映画の一般的な構造っていうのは秩序→混乱→秩序である、とよく言われます。なんとなく当たり前のようで、実はそうじゃないことです。最初は平和で、なんか起こって、最後はまた平和ってことですね。んでこのハッピーエンドっていうのは、この最後に混乱が収まって、問題はすべて解決されて、また平和な生活が戻るっていうことであるとなんですよね。こうやって「結局最後はみんな問題が解決するよー大丈夫だよー」っていうことを映画として繰り返し見せることで現状(status quo)というものを肯定する働きをハリウッドは持っています。つまり、見ている人に「あー、このままでいいんだー」って考えさせる働きです。これはハッピーエンドじゃない映画を見たときのやるせなさとか不満っていうのを考えてみると分かるかも知れません。もんのすごい曖昧な言い方にはなりますが、不満っていうのは何かを変えていくエネルギーになります。逆に秩序とか満足ってのは現状維持に向かうエネルギーですから、ハリウッド映画、少なくともClassical Hollywoodはハッピーエンドという「技法」を使って現状維持という考え方を発信している、といえます。

あと、これはややディープになるので別に考えなくてもいいんですが、映画学ではこの秩序→混乱→秩序の「混乱」のところで入ってくるもの、っていうのは、その映画がつくられた社会における無視されている問題とか抑圧されている考え方なんかがかたちを変えたものである、っていう風に言われるんですね。たとえば「北北西に進路をとれ」なんていうのは、ヒッチコック研究者の間では「母の束縛」からの脱出についての物語であるなんてよく言われています。この映画も色んな解釈があるんですが、ヒッチコックはおそらく意図的に「母に束縛された息子(主人公)」が母の束縛から脱出して、最期にヒロイン(つまり母以外の女性)と結ばれてハッピーエンド、っていう構造を「北北西に進路をとれ」に織り込んでいる、という話です。ですから、これは結局のところ社会がよしとする「一人身でいないで結婚して家庭をつくる」という考え方が正義の味方を通して取り戻され、達成されることについての映画でもあり、その意味で、やはりハッピーエンドは現状維持(この場合は、社会規範の維持)として働いていたりするわけです。



ぷへー

というわけで、やや無理やりですがClassic Hollywoodが意味するもの、ということでClassic Hollywoodと社会の関わりについて書いてみました。ハッピーエンド以外にも色んな要素があるので、もしかしたら次回ゴダールの前にチロっと書くかも知れません。

ここは映画学の中でも色んな分野と密接かつ複雑に関わっている部分でありましてなかなかサクっと説明するのも難しく、ちょっと抽象的な話が多く分かりづらかったんじゃないかなと思います。どうもすいません。もしよければコメント欄の方でツッコミ、質問など頂ければ幸いです。

まぁとりあえずのところは、Classic Hollywoodっていうのも思想的に中立なただのエンターテイメントなんかじゃなく、映画というものを通してさまざまな方法で自分の思想を発信し、社会と関わっている、というニュアンスをつかんでもらえればいいのです。

っっていうか散々書いておいて
soredake.jpg
って話ですが・・・・。

ではでは、また。
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コメント
この記事へのコメント
お久しぶりです。
またイギリスに戻ってきました。早くもお天道様が恋しいです(苦笑)

現状維持という概念は面白いですねー。今も昔もハリウッド映画なるものは最大多数の観客をどれだけ取り込んで魅了することで最大利益を上げれるかというところで低通していると思います。だからこそソコにある映画的な要素や構造はその社会と密接な関係性を見出しやすいし、その価値があるというものですよね。この辺の徹底ぶりは日本の商業映画も学ぶべきは多いのではなんて思います。

映画学的に言えば、映画で社会的な性質や背景などと結びつけて研究をするときに一番陥りやすいのが、ただの社会学になってしまうことだと個人的には考えています。構造的に映画→社会的要素・分析・議論→映画というふうなフレームでいかないと映画学的論述にならないところを、日本ではこのフレームワークがかなり緩く曖昧だと言わざるを得ないのが現状ではないでしょうかねぇ~。

このクラシックハリウッドという非常に形式的な映画構造は世界的にも後々の新しい映画的運動や思想・表現を産むアンチテーゼになったわけで、ここを抑えずに戦後の映画は語れませんよねー。
と、長くなるのでこの辺で…(苦笑)
2006/01/10(火) 18:37:44 | URL | Depper #hJZqYFTY[ 編集]
お久しぶりですー
お帰りなさいませ。
お天道様が恋しい気持ちはお察ししますが(笑)、こっちはDepperさんがいなかった時の方が天気ひどかったですよー。すごい雪とか降ったりしてました。

やっぱりハリウッドは社会が欲しがっているものをすごくよく分かってるんですよね。みんなが(意識してなくても)見たいと思ってるものを見せる、というか。

映画と社会学的要素の関係についても仰る通りで、社会学になっちゃいけないんだけど、でも社会学の手を借りずに映画学もできないっていうジレンマがあるように個人的には思っています。そこらへんはやはり「映画の中に映っているもの」にきちんとフォーカスを合わせることができるmise-en-sceneといった考え方が大事になってくるところですよね。

2006/01/10(火) 19:30:09 | URL | タカ@映画学メモ屋さん #6SWgxDAM[ 編集]
グループウェアと30代,40代の転職
グループウェアとは、組織で業務を行う際に情報を共有し、効率的に作業を進めるのに役立つソフトウェアのこと http://wedding.misterblackband.com/
2008/11/14(金) 17:40:41 | URL | #-[ 編集]
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King Kong Ain't Got Nothing On Me!!ということで、いろいろと話題の映画『キングコング』なのですが、わたくしはまだ未見でございまして、皆様のブログを拝読させて頂いて夢想にふける今日この頃でして、それでいて、ひとつの疑問が浮かび上がってきたので、Trackbackとい
2006/01/10(火) 23:21:01 | フィルム・アカデミア
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