映画学メモ
日本ではまだイマイチ馴染みの薄い「映画学」なるものを、イギリスの大学から実際の映画学の授業に沿うかたちで紹介していきたいと思います。まー気楽にいきましょう。
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映画学入門 Week12(その4)
どうもー。

おとといはAspect Ratioの話をしていて、ワイドスクリーンのあたりから思いっきり話がそれたのでした。50年代の半ば頃から、テレビとの競争なども意識しながら様々な形式のワイドスクリーンが普及してきた、っていうところまで前回はやりましたね。

・ワイドスクリーンはどうやってできんのか

前回カバーしてなかった話というと、とりあえずワイドスクリーンがどうやってできんのか、って話であります。軽く技術的な話になりますが、結構知っておいて損はないかも知れません。

☆ワイドスクリーンのつくりかた その壱:ハードマット(Hard Matte)

これは一番シンプルなやり方で、単純に四角い映像の上と下をカバーしちゃえばワイドスクリーンになんじゃね?という方法です。

最初は「フル・フレイム(Full-Frame)」、つまり1.33:1か1.17:1の正方形に近いイメージで撮影をして、編集の段階や、映画館で実際に投影する段階で上と下を隠すわけです。でも、今俺が参照してる本だと「編集か、または映画館での投影の段階」と書いてあるわけですが、おそらくデジタル編集が完全に主流になって編集段階でなんでもできる現在ではこういう処理は編集でやってしまうんじゃないかな~、と思います。

写真で見ると;
of133.jpg
これがフル・フレイムの1.33:1で・・・

133185.jpg
この上と下にマットをかぶせて・・・

tf185.jpg
1.85:1ができあがる、というわけです。

ちなみにこの場合、もちろん上下にマットをかぶせることを計算して撮影するのですから、フル・フレイムの時点では、画面の上の方にマイクが映ってたり、なんてこともあるわけですね。どーせ隠しちゃうんだから関係ないってわけです。

☆ワイドスクリーンのつくりかた その弐:アナモルフィック

ワイドスクリーンをつくるもうひとつの方法は、アナモルフィック(Anamorphic)というやりかたで、これはちょっと文字で説明するのが難しいんですが、要するに、撮影する時点で特殊なレンズをつかって、ワイドスクリーン相当の情報量を1.33:1の画面に圧縮します。
つまり、こんな感じ↓
thunderbolt_dvd1_quality7.jpg
映像が横方向に圧縮されてますよね。撮影されたフィルムはこんな感じで出てくるわけでして、これを編集して映画は完成。そんで、これを映画館で投影する時に、撮影時のレンズに対応するレンズをつかってもとの比率にもどして投影するわけです。
つまり、投影されてる時は
thunderbolt_dvd1_anamorphic.jpg
こうです。これがアナモルフィック、と呼ばれるワイドスクリーン技法になります。ちなみにですね、この画像なんですが、後ろにうっすらパチンコ台みたいなのが映ってるじゃないですかぁ。だから邦画なんじゃねーかなーと思うんですよね。でも言ってるセリフは「アルフレッド!」しかもスペイン語?みたいなビックリマーク付き。いったい何の映画なんだ・・・。知ってる人教えてくらはい。

・ワイドスクリーンと、その画面構成

さて、ワイドスクリーンというのは単に1.33:1よりも画面が横長になってそれでおしまい、って話でもないわけですよ。画面のかたち(フレームのかたち)が変わってくれば映るものも映し方も(つまり画面構成の仕方)変わってくるのであります。

ワイドスクリーンの画面構成となると、一番わかりやすい違いは横方向の構成が強調される、ということです。何かが横にぐわーっと並んでいるとか広がっているとか動くとか、そういうものですね。やっぱり画面が横に長いわけですから、動きや構成の軸を横にとった方がしっくりきますよね。ちなみに映画学メモでも過去に扱った「戦艦ポチョムキン」の監督:セルゲイ・エイゼンシュタインは「映画のフレームは完全な正方形であるべきだ」なんていってます。理由は正方形だったら縦の構成も横の構成も斜めの構成もみんな同じようにできるから。なんとなくエイゼンシュタインらしいなと思ってしまいます。やっぱフレームのかたちってのはどんな構成が強調されるか、ってのと深く関係があるわけですね。

初期のワイドスクリーンというのは西部劇、ミュージカル、歴史大作もの、といった「スペクタクル」で主に使われておりました。やっぱスペクタクル、というと視覚的に面白い・スゴイっていうのが大事なわけですから、横長の画面でドーンって映像があるのは有効だったわけですね。最近でも例えば「トロイ」とか「グラディエーター」みたいな歴史大作系だと、ワイドスクリーンを思いっきり使って壮大な雰囲気を出したりしますよね。

でもすぐにワイドスクリーンはこういったスペクタクルだけのものではなくなって、様々なジャンルの映画に幅広く使われていくようになります。それはワイドスクリーン構成がもっている、ただ単に広い画面をドカーンって見せるっていうだけではない他の特徴によるものなんですね。例えば、画面が広いわけですから二つ以上の違った場所(例えば手前と奥とか)を同時に見せたり、場所は同じでも二つ以上のことが同時に起こっていたりといったことができます。またストーリー上の重要な出来事を真ん中ではなく画面のすみっこにおいて見せることによって観客の注意を一箇所に集中させたり、と色んなことができるわけです。そしてここらへんのテクニックはもちろんスペクタクルと呼ばれるジャンルでも使われていくわけですねー。



というわけで、今回はワイドスクリーンについてのまとめでした。
ちょっと技術的な話ばかりになっちゃいましたね・・

次回はカサヴェテスの映画「こわれゆく女」をつかってCinematic Performanceというテーマをやってみようと思います。

ではでは、また。


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2012/08/06(月) 07:44:18 | | #[ 編集]
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