映画学メモ
日本ではまだイマイチ馴染みの薄い「映画学」なるものを、イギリスの大学から実際の映画学の授業に沿うかたちで紹介していきたいと思います。まー気楽にいきましょう。
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カサヴェテスとシネマ・ヴェリテについて補足
2005012014390B4.jpg

どうもどうも、映画学メモ屋さんです。

今回は、コメント欄の方で質問いただいたことへの補足であります。

Week13に映画監督ジョン・カサヴェテスとフランスでの映画ムーブメント「シネマ・ヴェリテ」の関係についてちょっと書いたんですが、そん時コメント欄の方で「かよこ」さんより;

シネマヴェリテは60年代に起こったムーブメントだと記憶しています。シネマヴェリテの例としてよく引用されるChronicle of a Summerは1961年の作品。カサヴェテスのShadowsは1959年の作品。となると、シネマヴェリテがカサヴェテスに影響を与えたとは言えない気がしました。もしかしたらアメリカではダイレクトシネマという形で、シネマヴェリテより前にそのようなムーブメントが起こっていたのではないかと考えたりしましたが、ダイレクトシネマの歴史については資料不足でよくわかりません・・・。

との質問をいただいたわけです。んでここんとは俺もよく分からなかったんで、うちのセンセに聞いてみたところ、だいたい以下のようなことを教えてくれました。




とりあえず、カサヴェテスが1959年に処女作「アメリカの影」をつくった時点では、シネマ・ヴェリテはまだムーブメントとして存在していないか確立されていないので、シネマ・ヴェリテの影響と言えるものはほとんどないわけです。

ただ、ここで忘れてはいけないのは、多分前にも書いたと思いますがシネマ・ヴェリテの誕生と発展っていうのはカメラの技術革新に負うところが多いんですよね。50年代から60年代にかけて、つまり、ちょうどカサヴェテスが「アメリカの影」を撮ってたあたりに16mmカメラってのが急速に持ち運びしやすくなって、また録音機材もそれまでみたいなスタジオ録音だけじゃなくて、機材をもって外で録音できるようになるわけです。

こんな感じの人、いますよね↓
sound20man203.jpg
まぁこれは最新の機材ですが、こういうこと自体できるようになったのが、この50年代後半あたりなんだそうです。シネマ・ヴェリテの名作「ある夏の記録(Chronicle of a Summer)」も、インタビュアーにくっついて、録音機材もった人が映ってるんですよ。

んで映画学メモの中の人はいったい何が言いたかったのかというと、こういう大きな技術革新に刺激されて、シネマ・ヴェリテやカサヴェテス、さらにはシネマ・ヴェリテのイギリス・ヴァージョンとも言える「フリー・シネマ」や、アメリカ・ヴァージョンの「ダイレクト・シネマ」などなどがほぼ同時代に出てきた、つまり、技術革新にともなう時代の空気的なもの(この場合具体的に言うと、「カメラも簡単に持ち運びできるようになったんだし、録音も外でできるようになったんだから、もっと現実に近い、直接的な映画をつくってみようぜ」みたいなものですかね)としてカサヴェテス的なものやシネマ・ヴェリテ的なものが別々にあったといえるようで、どっちがどっちに影響を与えたとは言いづらいようです。

ただその上で、カサヴェテスは自分の映画監督キャリアがスタートしてからシネマ・ヴェリテに相当興味をもったらしく、シネマ・ヴェリテについて論文も書いていますし、やっぱ「アメリカの影」よりはだいぶ後になる彼の作品;「フェイシズ」(Faces、1968年)なんか見ると映像の感じがシネマ・ヴェリテっぽいなーなんて思ったりして、やっぱだんだんとシネマ・ヴェリテの要素も吸収していったのだと思います。

faces1.jpg

Faces2.jpg

Facesi.jpg
「フェイシズ」(三枚とも)
原題:Faces (1968年)
監督:ジョン・カサヴェテス

ということで、ちょっと前の話ではありましたが興味深い(そして俺がよー分からない)質問をいただいたので、先生に聞いてみたのでした。

かよこさんどうもありがとね。

次回はまた現在進行形の映画学入門に戻りまっす。

ではでは、また。
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コメント
この記事へのコメント
なるほど
ほう。勉強になりました。技術革新が大きく関係しているのですね。「アメリカの影」からまた観てみようと思います。旅行中のかよこさんにこの記事について伝えたら「ありがとう」と言っていました。たかさん、丁寧に説明してくれてありがとうございました。
しかしながら、回答してくれたジェフ先生の顔が思い出せません・・・カサヴェテスとかぶります。
2006/06/13(火) 13:05:19 | URL | カリーナ・ナーリカ #-[ 編集]
>カリーナさん  技術革新と映画
ってなかなかはっきり関係が見えてこないこともあるけど、やっぱり大事なファクターだよね。

このカサヴェテスとシネマ・ヴェリテの話は、今で言うとビデオカメラや編集機材もだいぶ手軽になってきたから、個人で色々やってみようぜー、という流れみたいなもんなんだと思います。それでお互いに関係なくても、この技術革新の状況が同じである以上なんらかの共通点があって、それで別々に生まれたあとお互いに影響し合う、というか。

ジェフは、カサヴェテスみたいな人だよ(笑)とかいいかげんなこと言ったりして・・
2006/06/14(水) 12:42:25 | URL | タカ@映画学メモの人 #6SWgxDAM[ 編集]
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